退職代行サービスを利用する若者が増えている。
あえて言えば、若者だけではなく、老若男女、利用者が増え続けている。
働き方改革やテレワークが推進されて、働き方が変化し続けている昨今、辞め方も変化し続けるのは必然かもしれない。
昨年、わたしの部下が退職代行サービスを使って辞めていった。
まさに青天の霹靂だったが、周囲にヒアリングしてみたら、彼には彼の苦悩があることもよく分かった。
そして、今年から新卒の面接を担当している。
何十人も面接していく過程で思うことは「この子もいつか辞めてしまうのか」という無念さと「この子が辞めないように何ができるのか」という疑問である。
退職代行サービスのようなビジネスが成り立つ背景は複雑で、「最近の若者はけしからん!」と一様に断ずることはできない。
会社側にも責任!?退職代行サービスを利用する若者や新入社員の苦悩は増すばかり
退職代行サービスを利用する側の気持ちを考えると、利用したくなる気持ちもよく分かる。
そんなサービスを利用せざるを得ないのは、そもそもコミュニケーション不足だった可能性もあるし、会社側の落ち度がないとは言い切れない。
さらに、過度な残業やパワハラまがいの言動によって、心の病になっていたとしたら、その原因となった人たちの顔など見たくないだろう。
もう二度と関わりたくない人たちに、引き止められたり、変な圧力をかけられたり、無駄な話し合いを長時間強いられることを考えると、うんざりする気持ちもよく分かる。
もちろんもっと気軽に、めんどくさいし、流行ってるみたいだからやってみようという人もいるとは思うが、多くの人は気が狂うほど悩みまくって利用していることを理解するべきだろう。
サラリーマン・ラプソディ
(ピアノパート)
ママ、今日、会社を辞めてしまったよ
我慢できずに退職代行サービスを使って、辞めてしまったんだ
ママ、ぼくのサラリーマン人生は始まったばかりなのに、全部終わらせてしまったよ
新宿行きの電車に乗らず、八王子行きの電車に飛び乗ったんだ
ぼくが無職になって帰っても、どうか泣かないで
何もなかったかように過ごしてほしいんだ
もう手遅れだ 後悔しても遅い 真実に向き合わなければ
体中が痛い クラクラするよ 何もかも台無しだ
最初から就活なんて意味がないと思ってたんだ
(オペラパート)
「僕のスマホが鳴っている」
部長かな 課長かな 人事かな
〇 彼を自由にしてやれ
「僕は愚かなただの若者 僕を見逃してくれ」
◎ ダメだ 見逃せない 話をしたい 話せばわかるはず
「頼むよ 僕ひとりいなくなっても問題ないだろ」
◎ ダメだ わたしたちはあなたを辞めさせない
〇 彼を自由にしてやれ 彼がかわいそうだ
◎ ダメだ ダメ ダメ ダメ ダメ ダメだ
「彼らが家まで来てしまう こわい 助けてくれ!」
(ロックパート)
それじゃあ あなたたちが僕に何をしてくれるか教えてくれよ
本当は、僕のことなんてどうでもいいんじゃないのか?
自分の仕事が辛くなるから、責任を取らされるから、必死なんだろ?
ぼくを助けてくれ 僕を見逃してくれ ベイビー
だめだ、早くここから逃げ出さなくちゃ
僕はダメになってしまう
退職代行サービスに連絡してよかった
(ピアノパート)
そうさ、どうでもいいことさ
みんなそう思っている
僕もそう思っている
どっちにしろ、風は吹く
退職代行サービスを利用するときに注意すべきこと3選
退職代行サービスは、立場が弱いわたしたち労働者の、新たな武器になっていることは間違いない。
そんな退職代行サービスだが、利用する際に注意すべき点があるので確認しておこう。
1.法的違反に該当する業者があるので慎重に選ぶべし
2024年現在、退職代行は100社以上あると言われている。
選択肢が増えるということは、利用者目線で考えると、良いことばかりではなく、注意すべきことも増える。
特に注意したいのは非弁行為。必要な条件を満たしていない業者が、退職に関連する交渉をした場合は非弁行為となり、その業者は弁護士法違反となる。
つまり、非弁行為とは、弁護士以外が、営利目的で交渉などの法律行為を行うこと。
最近になって、一般業者が行う退職代行サービスは、「非弁行為」に該当する可能性が高いのでは?という世間の声が増えてきた。
交渉できないとなると、退職の意思を伝えることしかできないので、もし有給消化や未払い給与の交渉があった場合、不利益を被る可能性があるので要注意。
ちなみに、退職に関連した交渉ができるのは「弁護士運営」「労組組合運営」のどちらか。
依頼するときは、下記のような信頼と実績のある会社に依頼しよう。
労組組合運営
弁護士運営
2.そもそも退職代行サービスを使う必要があるのか
退職代行サービスが流行っているとはいえ、退職は一般的に、自分が上司や会社に直接伝えるのが常識とされている。
退職代行サービスを利用することで、「非常識なヤツ」「自分勝手なヤツ」「社会人失格」などと、昨日まで苦楽を共にした同僚や部下にまで言われてしまう可能性がある。
なぜなら、突然いなくなってしまったので、引継ぎもできない。当然ながら、残された社員たちは少なからず被害を被ることになる。
さらに懸念されるのは、転職先に何らかの理由で知られてしまう可能性も捨てきれないことだ。
特に同業他社の場合は、各社の人事部門で情報交換している場合もある。
そして、意外に思うかもしれないが、自己嫌悪に陥るケースも多いようだ。
会社に見切りをつけたとはいえ、仲のいい同僚や世話になった上司に対して、連絡することなく退職するわけだから、人間関係が破綻する可能性は極めて高い。
そもそも本当に利用すべきか、ぎりぎりまで慎重に考えた方が良さそうだ。
3.何をどこまでやってくれるサービスなのか、しっかり確認する
退職の代行を「どこまでやってくれるのか?」
具体的な例も踏まえて確認しなければならない。
なぜなら、サービスの性質上、前払いになるので、後から「アドバイスは別料金」「手続きはやるけど、書類の受け取りはやらない」など、認識の相違があったときにトラブルに発展してしまうから。
決して安くない金額を払うので、契約内容を十分に確認する必要がある。
例えば、
- 未払い給与や退職金の受け取り
- 会社が辞めさせてくれない
- 会社側が交渉を求めてきた
繰り返しになるが、上記のような交渉ができるのは「弁護士運営」「労組組合運営」のどちらか、なので注意してほしい。
まとめ
退職代行サービスについて、少し否定的な内容も含まれていたが、個人的には退職代行サービスの利用はOKだと思っている。
なぜなら、企業と労働者という力関係において、労働者は明らかに不利なので、最終兵器として心の拠り所になるからだ。
「おまえ、あんまり調子こいてると退職代行かましたるぞ!」
心の中でこう思えるだけで、ある程度、冷静な判断ができるはず。
「心の病」は完治するまでに膨大な時間が必要になるケースが多いので、どうしても無理な場合は迷わず退職代行サービスを使うべき。
とはいえ、残された側から言わせてもらえば、何とも後味の悪い退職なので、しっかりと引継ぎしてから、退職してほしいというのが本音でもあるが。。。
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